夫いつもブログを読んでいただき、ありがとうございます!☺️
【はじめに】
今日は、私がいま看護師としてどんな場所に立ち、何を考えているのか、についてお話ししたいと思います。
今月で、僕が精神科急性期病棟にきてから、ちょうど丸2年が経ちます。一般の科とは全く異なるこの特殊な環境で過ごした時間は、私の看護師としての価値観を根底から揺さぶるものでした。
【「プライベート確保できるならいいか」から始まった選択】
元々、精神科に対して何か強い志があったわけではありません。もっと言えば、当時の僕は看護師として決してモチベーションが高い方でもありませんでした(いや、なんなら低かったのかもしれません…)。
日々の激務に追われる中で、どこか「自分を削ってまで働く」ことに限界を感じていたのかもしれません。
大学時代の同期から「精神科ならプライベートの時間を確保しやすいよ」と勧められたこと、
そして救急のように常に処置や時間に急かされる環境から一度離れてみたい!!()
そんな、極めて現実的で、ある種後ろ向きとも言える理由が始まりでした。
しかし、実際に足を踏み入れた「精神科急性期」は、そんな僕の「少し楽をしたい」という甘い予想を遥かに超える世界でした。
【「目に見えない急変」を察知し続ける重圧】
入って分かったのは、ここは一般科のような「いつ急変するか分からない」という身体的なピリピリ感こそ少ないものの、全く別の種類の、重い緊迫感が支配している場所だということです。



『あの患者さん、そろそろ躁転して不穏になるな……』



『今夜、スタッフの目が届かないところで自殺企図しそうなくらい、鬱が深まっているな……』
そんな、数値には出ない「心の波」を読み取り続ける精神的な負担が、常にあります。
いつ爆発するか、いつ崩れ落ちるか分からない患者さんの精神状態を、24時間監視し続ける。
その見えない糸を張り巡らせるような緊張感は、想像以上に僕の心を削りました。
【暴力・暴言、そして「正解のない」責任】
さらに、急性期病棟の現実は決してきれいごとだけではありません。
暴力や暴言、罵声が飛び交うのは日常茶飯事です。身体的な危険と隣り合わせの中で、いかに冷静に、かつ人間としての尊厳を見失わずにいられるか。強靭なメンタリティが求められます。
急なビンタ、水をぶっかけてくる、壁を剥がす、自分の便を手に持っている、トイレの水を飲む、ドアを思いっきりガタガタさせる、全裸になっている、スタッフの鍵を強引に取ろうとする、帰宅願望が強く逃げ出そうとする、110番・119番に電話する…などなど、精神科にいないとであわないことばかりです。
また、患者さんにかける言葉ひとつに明確な正解はありません。これがまた難しい。その時の症状・環境だけでなく、スタッフによってもそれぞれのこれまでの人生経験に左右された回答があったり。
受容し、共感することは基本ですが、時には毅然とした態度で枠組みを示さなければならない。その判断の責任は、すべて自分自身に返ってきます。自分の言葉、表情、距離感。そのすべてが治療にもなれば、毒にもなる。その重圧は、2年経った今でも慣れることはありません。
【家族背景というもう一つの迷宮】
入院時の情報収集もそう簡単にはいきません。
精神疾患は遺伝的な要因や育ってきた環境が複雑に絡み合っていることが多く、ご家族自身が深刻な問題を抱えていたり、混乱の渦中にあったりすることが多々あります。
まともな話が出てこない、あるいは事実に歪みがある中で、情報の断片から何を信じ、何を聞き流すべきか。そこにも、鋭い洞察力と「疑う力」が必要になります。
【2年経った今、僕が思うこと】
正直に言えば、悩みが絶えない期間は何度もありました。看護師夫婦として、同じ職業の妻にだけは、家でその葛藤を吐露することもあります。
しかし、丸2年経った今、僕はこうも思っています。
これほどまでに「人間」の深淵に触れ、一人の人生が壊れていく瞬間と、そこから再生しようとする生命力の強さを同時に感じられる現場は、他にないのではないのではかと。暴力の裏にある「苦しさ」に触れたとき。混乱の果てに、ふとした瞬間に患者さんの本来の瞳が見えたとき。その一瞬のために、僕は今この現場に立っています。
【おわりに】
4月から、精神科急性期3年目。
「分かったつもり」になるのが一番恐ろしい世界です。
これからも、暴力や暴言に怯むことなく、かといって心を麻痺させることもなく、目の前の「人間」と誠実に向き合い続けていこうと思います。
……と、少し熱く語ってしまいましたが、この仕事はのめり込みすぎると自分自身が摩耗してしまうことも、この2年で痛いほど学びました。
だからこそ、家では看護師ではない「ただの夫」に戻り、妻と笑い、適度に力を抜く時間を大切にしたい。「程々に」自分を労りながら、長くこの現場に立ち続けること。それが今の僕の、裏の目標でもあります。
この現場での気づきや、看護師夫婦としてのリアルな日常については、これからも少しずつ綴っていきます。
同じ道を行く仲間、そしてこれからこの道を目指そうとしている誰かに、このリアリティが少しでも届けば幸いです!
ここまでみてくださりありがとうございました!
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